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日本のフレグランスマーケットの成長について

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10月初旬、Business France 主催のフレンチ・リビエラでのビューティーイベントに参加させていただき、フランスの香水・コスメ産業の魅力を体験しました。また、弊社代表が現地でトークセッションを行いました。以下、議事録を共有いたします。

INDEX

1. 日本のフレグランスマーケットの成長について

どのセグメント(ニッチ、マス、ライフスタイル系)が最も成長しているか?

現在、最も成長しているのはニッチフレグランスです。日本の消費者は、より個人的でユニークな香りに惹かれる傾向が強まっており、「日本初上陸」や「限定感」のあるブランドが特に注目されています。

今後の成長を加速させる文化的・経済的・社会的な変化は?

日本では、かつての大量消費型の価値観から、個性や自己表現を重視する価値観にシフトしています。特に、社会とのつながり方が多様化し自宅で過ごす時間が増え、個人的な満足感や心の安らぎを提供する製品への需要がさらに高まりました。

若い世代が成長を牽引するか?その場合、どのように?

日本は急速に高齢化しているため、2025年では日本の20歳未満は全人口の約15%でさらにその後も緩やかに減少し、人口規模としては市場全体の成長を大きく牽引するとは強く言えなくなりました。しかし、若年層はSNSや口コミを通じた反響力が極めて強く、消費トレンドやブランドの認知度の拡大に寄与しています。つまり、直接的な購買力は限定的でも、間接的に市場の活性化や次世代の消費習慣形成に重要な役割を果たしていると言えます。

2. 消費者のライフスタイルや価値観の変化について

日本における「ラグジュアリー」の概念はどのように変化しているか?

ラグジュアリーは、もはやステータスの象徴だけではなく、個人的な満足や自己表現の源として捉えられています。外部からの承認よりも、自分自身の体験を豊かにする製品が重視されます。レビューや口コミも重要ですが、最終的には個人的な意味や体験価値がラグジュアリーのコアの定義を変えています。

価値観の変化はラグジュアリーの認識にどのように影響しているか?

T従来、ラグジュアリーはブランド名や価格で判断されることが多く、保有するだけでステータスや社会的地位の象徴となっていました。*1 特に日本では、バブル期から2000年代初頭にかけて、外資系ブランドのバッグや時計の所有が社会的価値の指標とされていました。しかし現在では、ストーリーテリングやブランドとの感情的つながりが重視される傾向にあります。*2 したがって、物質的な品質だけでなく、ブランドの哲学や世界観への共感、自己表現を伴う体験としてラグジュアリーが再定義されつつあります。SNSや体験型イベントが消費行動に大きく影響していることも報告されています。*3

3. 欧州ブランドにおける機会と課題

ニッチフレグランスブランドは、どのように差別化して日本の消費者にアピールできるか?

ストーリーテリングが鍵です。日本人は漫画やアニメの世界観を楽しむ文化があるように、没入型のブランドの世界観や哲学に価値を見出します。購入前に、ブランドの理念やライフスタイルへの適合性を理解し、共感し、生活の中に取り入れたいと考えています。

欧州、特にフランスブランドが日本で有利な点は?

フランス製品は、美、職人技、伝統のイメージが強く、日本人にとって大変魅力的です。誰のために作られ、どのタイミングで、どう楽しむべきかを丁寧に伝えることで、たとえ日本市場に新規参入でもエンドユーザーに深い共感を得ることができます。

日本市場参入での主な課題は?

他ブランドのとの差別化が最大の課題です。日本では既に多くの魅力的なフランス製品が存在するため、自社製品の独自性やターゲット、使用シーンが想像されることや、エンドユーザへのベネフィットを明確に示さなければ、どんなに丹精込めて作られた美しい製品でも埋もれてしまう可能性があります。

市場参入戦略として有効な方法は?

日本の消費者は新ブランドに非常に慎重で関心を示さないことがあります。そこで、友人や家族、著名人の推薦を重視します。そのため、ブランドの世界観を身近に伝えるデジタルマーケティングや、親近感を生むインフルエンサー活用を組み合わせることが、認知と信頼構築に効果的です。

4. フランスブランドの認知と新しい価値基準

フランスの伝統的ラグジュアリーは依然として魅力的か?日本人はどのように捉えているか?

伝統や技術は依然として高く評価されます。しかし、競争が激しく、単に棚に並べるだけでは商品の唯一の魅力として伝えるには十分ではありません。他と何が違うか、対象となる消費者の生活に取り入れることでどのようなメリットがあるかを明確に示すことが求められます。

新しい価値基準に対してフランスブランドはどう位置付けるべきか?

伝統と現代性のバランスを取ることが言えます。遺産や職人技を称えつつ、ジェンダーニュートラルや個性重視など現代的価値観も取り入れることで、若い世代とつながりつつブランドのアイデンティティを保持できます。

今後のフレグランス普及を加速させる文化・ライフスタイルの変化は?

1. ポストパンデミックでの個人時間・セルフケア重視
2. 大量消費から選択的・キュレーション消費への移行
3. SNSの一般化によりブランドと消費者の距離が縮まり、感情的つながりが生まれる

5. 将来の展望

ニッチフレグランスの将来の役割は?

日本におけるニッチフレグランス市場の将来は、非常に有望です。過去5年間で香水カテゴリー全体の市場規模は、化粧品市場における構成比が数%から10%以上へと拡大し、消費者の香りに対する関心が着実に高まっています。特に「日本初上陸」や「限定展開」といったプレミアム要素を持つブランドは、今後も注目を集め続けると予想されます。

しかし一方で、メーカー出荷金額ベースでは伸びが鈍化傾向にあり、市場は高止まりの状態を示しています。需要自体は拡大しているものの、参入ブランドの増加により競争環境は一層激化しています。そのため、今後の成長を持続させるためには、

  • 他ブランドとの差別化、
  • ブランドストーリーの一貫性、
  • 香りの品質やサステナビリティへのこだわり、
  • 顧客体験を通じたブランドロイヤルティの構築

といった要素が、より重要になります。

今後のニッチフレグランスは、単なる“希少な香り”の提供にとどまらず、文化的・感情的価値を通じてブランド体験を提供する存在として、ラグジュアリー市場全体の中でも重要なポジションを担っていくでしょう。

フランスブランドが日本で長期的に成功するためのアドバイスは?

日本のライフスタイルを深く理解することが必須です。誰が、どこで、どのタイミングで使うのかを明確に示すこと。日本では30mL程度の小容量が最も売れやすく、消費は控えめです。また、日本は清潔文化が根付いているため、時には香水を嫌う層もいるため、軽やかでフレッシュ、透明感のある香りが好まれる傾向があります。


参考文献:Bain & Company, Luxury Goods Worldwide Market Study, 2019*1
McKinsey & Company, The State of Fashion 2024*2
Euromonitor, Japan Luxury Market Trends, 2023*3

※本資料は、本トークセッションの内容をもとに意訳したものです。

著者:株式会社Kinscent(キンセント)
代表取締役 久我 亜里沙
本業経験:機械学習エンジニア、ビジネスアナリスト、コンサルタント:現リクルート、アクセンチュア他

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