香水

英国王室御用達「フローリス/FLORIS」の伝統と継承

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世界で最も有名な女性の一人、今年96歳を迎えた英国君主エリザベス女王2世。2022年6月2日から5日にかけて、在位70周年を記念した「プラチナ・ジュビリー」の盛大なお祝いや催しがロンドンで行われました。

エリザベス女王即位を記念してフローリスでは、「プラチナ22/Platinum22」と称した記念香水を発売しました。フローリスは、英国王室御用達の名店として世界中のセレブたちに長く愛されてきたブランドです。

今回は、ロンドンに300年近く続く香りの最高峰「フローリス」と王室との歴史を紐解きながら、香水の楽しみ方、フローレスのおすすめの香水を見ていくことにしましょう。

「FLORIS/フローリス」の歴史

ロンドン、ウェストンミンスター市セントジェームス地区のジャーミンストリート。世界最高峰の紳士洋品店が軒を並べる目抜き通りです。その一角でフローリスは、300年近くにわたり英国王室御用達の香水の老舗として歴史を刻んできました。

静かな佇まいに溢れんばかりの気品に満ちた店構え。ドアを開けると綺麗にスーツを着こなした店員が丁寧にお客様をお迎えします。お客様の探している香調をすばやく見抜き、最高の商品を提案する。
フローリスの長く続く接客作法です。

王室御用達の栄誉

創業は1730年、ジュアン・ファメニアス・フローリス氏は、地中海のスペイン・メノルカ島を後にしてジャーミンストリートに理髪店の櫛や歯ブラシなどを取り扱う高級化粧品店を構えた後、店の地下で香水の調合を始めます。

メノルカ島に想いを馳せながら、マンダリン、ベルガモット、レモンを惜しみなく使用した清潔感漂うシトラス系の香りは、瞬く間にロンドン中に知れ渡り、フレグランスブランドとしての地位を確立するようになりました。

フローリスが初の王室御用達称号、ロイヤル・ワラントを授かったのは1840年、ヴィクトリア女王が何の爵位も持たないドイツのアルバート公との結婚を記念してフラワーブーケの香水を献呈したのが始まりです。

その後も称号の授与は続き、ジョージ4世はこれまでのフローリスの功績を称えて「英国王室御用達理髪商および香水商」を認定します。特に櫛や歯ブラシ、口臭液の製造販売が業績を伸ばし、ブランド名は世界的な知名度を得るようになりました。

王室御用達のロイヤル・ワラントは、皇室との良好かつ継続的な関係を認証し、高品質の商品を提供できる選ばれしブランドのみに与えられる栄誉ある称号。現在もエリザベス2世女王陛下ならびにチャールズ皇太子殿下より「王室御用達許可書」が授与されています。

顧客リストに名を連ねるのは、歴代の女王や王、王子に王女、公爵やその夫人など。リストはまるで王室の歴史をそのまま物語るかのように、それぞれの貴賓たちの好みの香りや趣向が記載されています。

プラチナジュビリー記念香水「プラチナ22/Platinum22」

エリザベス女王2世は、乗馬と犬をこよなく愛しユーモアとセンスの良さから、国民の尊敬と敬愛を受け続けてきた稀有な女王。イギリスを始め世界中の人々から多くの祝辞が寄せられたのは、何よりも女王のお人柄なのでしょう。

フローリスでは、女王の在位70周年を記念し特別に女王に敬意を表した「プラチナ22」を発売しました。バッキンガム宮殿の庭園に咲く花々を自社で栽培し調香、女王の70年間に渡る偉業に想いを馳せながら、高貴で永遠の輝きを表現しています。

菖蒲にオーツ、ライムのトップノートは、柔らかにバラやヴァイオレットの優しい香りのミドルへ、そしてブラック・ティやアンバー、ムスクの香りは、これまでの女王の功績である安定と調和、そして何よりも母としての癒しを連想させます。

バッキンガム宮殿で行われた祝賀コンサートには、チャールズ皇太子も登壇しました。「お母さん!」とこれまでの感謝を述べるシーンでは、世界中の人々が拍手で賞賛。英国の母であると同時に1人の母でもあることを、女王は決して忘れなかったのです。

戦後の生き証人として国際政治にも貢献してきたエリザベス女王の栄華を称えた高貴な芳香。
コロナ禍にハリー王子の王室離脱、そして最愛の夫との別れにも静かに耐え、王室業務をこなしてきた偉大なる女王の記念の香り。生涯の思い出ともなることでしょう。

香水の楽しみ方

香りをまとうことは、目に見えないオーラをまとうようなもの。
本当によい香りとは、人の感性を開かせてくれるものではないでしょうか?あなた自身の感性でセレクトした香りは、自分自身に安らぎを与え、お守りのような不思議な力を授けてくれます。

香りの持続時間

香水は、香料、アルコール、蒸留水で作られており、香料の濃度により香りの持続時間が異なります。香料濃度や持続時間は法律により定められているわけではないので、各ブランドにより違いますが、おおまかに下記の種類に分類されます。

パルファム        香料濃度:15%~30% 持続時間約5~7時間

香料濃度が高く持続時間の長いパルファムは、豪華で深い香りが楽しめます。

ほんの少量でしっかり長く香るので、どこにどれくらいつけるかは、体温や気温、湿度などを踏まえた調整が必要になるでしょう。しかし、一度でもきちんとパルファムの使い方を習得すれば、その香りは、もうあなたの一部に。

オーデパルファム     香料濃度:8~15%    持続時間約5時間

オードトワレ       香料濃度:5~8%   持続時間約3~4時間

オーデコロン       香料濃度:3~5%   持続時間約1~2時間

 

どれくらいつける?どこにつける?

香水にはさまざまな種類がありますが、つけたときの香りとしばらくたってからの香りが変化していくことをご存知でしょうか?
香りは、「香り立ち」といって時間の経過に伴い3段階に変化していきます。

トップノート:つけてから5~10分くらいの香り

ミドルノート:つけてから30分~2時間くらいの香り

ラストノート:つけてから2時間以降の香り

何種類もの香料で作られている香水は、揮発性の高いものから低いものへと香りが変化していきます。つけた瞬間は香りも強く感じられますが、時間が経つにつれてだんだんと柔らかくまろやかな香りに変わっていきます。

トップノートには、揮発性の高い柑橘系の香りが多く使われています。
オレンジやレモン、グレープフルーツなどのシトラス系からラベンダーやローズマリーなどのハーブ系まで。さわやかでみずみずしい印象を与えます。

ミドルノートには、その香りのメインとなる香料がバランスよく調合され華やかなイメージを与えてくれます。特にフローラル系の香料は、レディースフレグランスの定番の香調としてどの世代の女性からも愛されてきました。

ラストノートには、ウッディ系やグリーン系などベースとなる香料を配合。
時間の経過と共に肌に馴染んだ香りへと変化します。持続性の高いムスクやパチェリなどクールでセクシーな大人の印象を残します。

香水のつける量以上に重要なのがつける場所。どこにつかるかにより、香りが強すぎて周囲の迷惑になることもあるので注意が必要です。

一般的に香水をつけるのに適した場所は、耳の後ろ、手首ですが、膝裏や腕の内側、ウエストや足首につける人もいます。ビジネスシーンなど強い香りがご法度の場所では、足首や膝裏などにつければ、香り立ちをおさえることができます。

ハンカチやスーツのポケットチーフなどの小物に香水をつければ、調整しながら1日中、香りを楽しむことができます。

香水のつけ方は、種類によっても異なります。パルファムは1滴の「点」でつけ、オードトワレは数滴の「線」でつけます。そして濃度の低いオーデコロンは「面」でつけるといわれています。

そして、香水が本領を発揮するのはミドルノート。つけてから30分から2時間の間が、その香水が最も落ち着く時間帯です。いつ、どこに、どれくらい、TPOに合わせてあなたの香りをお試しください。

フローリスの厳選6品

ここからは、300年の歴史を持つフローレスのおすすめ香水を紹介します。

フローリス・メンズ・サンタル

トップノート:ベルガモット、ブラックペッパー、カルダモン

ミドルノート:ラベンダー、ジャスミン、ナツメグ、クローブ

ラストノート:サンダルウッド、パチュリ、バニラ、アンバー

創業以来300年の伝統と継承の中で、フローリスは様々な調合レシピを残してきました。その殆どは、家業の継承者のみが管理を許されてきた企業秘密。
このサンタルは、こうした古いレシピからヒントを得て現代風にアレンジした復刻版です。

シトラス・ブーケの香調により、トップはピリリとブラックペッパーを効かせたフレッシュな柑橘系から始まり、カルダモンやナツメグ、クローブなどのスパイス系のミドルへと変化します。このときにふわりと香るラベンダーがアクセントに。優しく肌に馴染みます。

イギリス王室が海洋王国の覇権を手にしたのは、絶対王政の最盛期、エリザベス女王1世の時代でした。イギリス東インド会社を経て、様々なスパイスをアジアからヨーロッパに持ち込みます。ヨーロッパの人々にとってスパイスは常に高級な商品でした。

このスパイスを効かせた官能的な香りは、包容力と懐かしいあこがれの異性の芳香。
どこかに望郷とノスタルジックを思い起こさせる癒しの香り、そんな香りが誰にも記憶の中にあるのではないでしょうか?

フローリスの伝統と継承の証でもある調香レシピは、今もその製法を忠実に再現し大切に守られながらも、時代の変化と共に日々進化しています。
持続的な地球を守るサスティナブルな取り組みもいち早く取り入れてきました。

フローリス・メンズ・JF

トップノート:ベルガモット、レモン、マンダリン、ライム

ミドルノート:ジャスミン、プチグレイン

ラストノート:アンバー、ムスク、シダーウッド

創設者ジュアン・ファメニアス・フローリスの頭文字からつけられたJF。フローリスの代表作として幅広い年齢層のメンズに人気の香水です。

中でも、1日の大半をオフィスですごすメンズにとって、近年のコロナ禍の影響による節電で日中の汗の匂いが気になりだすこの時期。きつすぎで、迷惑にならず、周りも清清しい気分になれる香水を探している方は、是非とも試していただきたいアイテムです。

シトラス・フローラルの香りに、スパイスの香りもほんのりと漂い、品格ある大人のエレガンスを演出する名香。ほんのひとふり纏うだけで、アフターファイブも準備万端です。大人の女性が黒いスーツとあわせて纏っても、クールです!

フローリス・メンズ・NO.89

トップノート:ベルガモット、ラベンダー、オレンジ、ナツメグ

ミドルノート:ローズ、ジャスミン、イランイラン

ラストノート:ゼラニウム、シダーウッド、サンダルウッド

フローレスの伝統と継承の証である、住所地のジャーミンストリート89番地。ここから名前がつけられたフローレスを代表する名香です。産業革命でビジネス的にも成功した18世紀の英国紳士の間で評判となり、その後瞬く間に世界中で知名度を上げました。

トップの柑橘シトラスの芳香は、メンズに独特の辛口のさっぱりとした清清しさが漂います。ドライダウンしてくると、今度は清潔なタルクの香りがほんのり肌になじみ優しい香りへと変化していきます。

フローレスの顔ともいえるこの香りは、やわらかく温かみのある懐かしい匂い。
ノスタルジックな世界に浸りながら、都会の喧騒をほんのひと時でも忘れてリラックスする。そんなときにもぴったりのアイテムです。

フローリス・レディース・ソルアンバー

トップノート:ベルガモット、パイナップル、ガルバナム

ミドルノート:ピンクペッパー、ゼラニウム、ジャスミン、メリロート

ラストノート:アンバー、バニラ、ムスク

紺碧色の地中海にオレンジ色の太陽、穏やかにそそぐ風をイメージしたレディース・フレグランス・ソルアンバー。爽やかなグリーンを基調としながら、刺激をそそるパイナップルの甘い果実の香りは、人を思わず笑顔にさせます。

昔、どこに行っても必ず人を虜にしてしまう、笑顔が最高に素敵な女の子に会ったことがあります。
彼女のオーラは、正にオレンジ色の太陽に黄色いパイナップル。だれもが彼女とほんの少し会話するだけで、その平和で穏やかなオーラに包まれてしまうのです。

ソルアンバーは、正にそんな彼女のように明るくて健康的、そして何よりも大切な純粋さと清潔感を感じさせる香水です。時間と共に、ゼラニウムの柔らかな花々のブレンドが大胆さを発揮して、エキゾチックな佇まいへと変貌。なんともセクシーな展開です。

フローリス・レディース・セフィーロ

トップノート:マンダリン、オレンジ、グレープフルーツ、ライム

ミドルノート:ジャスミン、カルダモン、ナツメグ、

ラストノート:サンダルウッド、シダウッド、グリーンティ

シトラス・フローラルの香調セフィーロは、地中海のそよ風という語源そのもの、正に王道のクラッシック・クリーンな香りに満たされます。

マンダリンにオレンジ、グレープフルーツにライム、という黄金の果実を惜しみなく使用した上品な香りは、一瞬にして気分を優しい癒しに変えてくれます。爽やかな柑橘系は、誰からも愛される清潔な香り。昼夜を問わず、場所を選ばずに使えるのが嬉しいですね。

フローリス・レディース・スペシャルナンバー127

トップノート:ベルガモット、ラベンダー、オレンジ、プチグレン

ミドルノート:ゼラニウム、ネロリ、ローズ、イランイラン

ラストノート:ムスク、パチュリ

19世紀のクリミア戦争とロシアの改革により、ヨーロッパの再編が行われていた1890年に、ロシアのオルロフ公爵の功績を称えて特別に調合された「オルロフ スペシャル」。

その調合レシピは、フローリスの調合リスト127ページに記載されていました。歴代の政治家や官僚たちが好んで使用した「オルロフ スペシャル」は、いつの時代も世界のセレブたちの愛用品でした。

ベルガモットにオレンジ、プチグレンにネロリという独創的な組み合わせは、ミドルノートのゼラニウムに柔らかく変わっていきます。やがて体温で温められるとムスクの落ち着いた香りがしっとりと。

まとめ

王室をはじめ世界中のセレブたちが長く愛用してきた香水には、それなりの理由があるのも頷けます。伝統と継承の中で培ってきた確かな技術と信頼。フローレスは、これからの未来もこれまでと同じ歩調でゆっくりと、しかし、確実に最高峰の香水を皆様にお届けします。

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